化学薬品耐性データベース さまざまな化学薬品に対するエンジニアリングプラスチックの耐性
化学薬品耐性ガイドには、エンジニアリングプラスチックに悪影響を及ぼすこと、あるいは適合していることが知られている化学薬品と液体に関する情報が記載されています。
エンジニアリングプラスチックの化学的適合性 化学薬品耐性とは何か

化学薬品耐性とは、材料が特定の期間、その性能特性の著しい劣化なしで薬品浸食に耐えられる能力のことです。化学薬品耐性が高い材料は多くの場合、薬品浸食による材料の破損についても高い耐性を示します。 

エンジニアリングプラスチックは化学薬品耐性が高いために、最終製品が過酷な環境条件、殺菌、洗浄に耐えられるようになり、これは金属に対する大きなメリットとなります。用途に対する材料の化学的適合性が不十分な場合、亀裂、膨張、軟化、サービス寿命の短縮を引き起こす可能性があります。

エンジニアは、適切な化学薬品耐性を持つプラスチックを選定する際、動作温度、機械的荷重、耐火性要件といった、目的の用途の具体的な影響要因を考慮する必要があります。三菱ケミカルグループ株式会社では、高い信頼性と操作の安全性を提供する、化学薬品耐性を持つエンジニアリングプラスチックのポートフォリオをご用意しています。 

金属ではなく化学薬品耐性を持つエンジニアリングプラスチックを選ぶ理由

化学薬品耐性に関して、エンジニアリングプラスチックには金属よりも多くのメリットがあります。

コーティングを行えば金属の化学薬品耐性を高められるかもしれませんが、この追加の層によってリードタイムとコストが増えます。一方、適切な化学薬品耐性を持つプラスチックには、二次仕上げは必要ありません。そのため、加工処理にかかる時間が短縮され、部品が軽量になって、性能が向上します。 


技術上の考慮事項 プラスチックの化学薬品耐性に影響する要因は何か
エンジニアリングプラスチックは、酸、塩基などの工業用化学薬品にさらされる必要のある用途で使用できます。ただし、部品の故障や薬品侵食を防ぐために考慮する必要のある、材料の化学薬品耐性に影響を与える要因がいくつかあります。

物理吸収

これはポリマーの分子構造には影響しませんが、物理構造には影響します。化学薬品がプラスチックに吸収されると、部品の軟化、寸法の変化、重量の変動を引き起こす可能性があります。

温度

材料が連続的に高い動作温度にさらされた場合、薬品浸食の影響が強まり、物理吸収が増大する可能性があります。

化学薬品の濃度

材料がさらされる化学薬品の濃度はどれくらいですか?どのような条件下で材料が使用されるかを把握することは、材料が化学薬品耐性を示すかどうかを理解するうえで重要な基準です。化学薬品の濃度が高い場合、希釈溶液よりもエンジニアリングプラスチックに悪影響を及ぼす可能性が高まります。

薬品浸食が生じる原因

薬品浸食は、プラスチックと化学薬品に適合性がない場合に発生します。化学薬品がポリマー構造を弱めるか破壊し、その結果性能特性が失われて、部品が故障する可能性があります。また、薬品浸食はESC(環境応力亀裂)を引き起こす可能性もあります。これは、蜘蛛の巣状の微細なひび割れで、部品の性能に大きく影響するおそれがあります。   

ご使用の用途で、薬品浸食を原因とする部品の故障が発生する可能性があります。しかし、薬品浸食が生じる原因は何でしょうか。動作環境における化学薬品への暴露の一般的な原因には、次のものがあります。

洗浄:コンベヤー、撹拌機など、有害なバクテリア、ウイルスが繁殖したり、その他の汚染物質が混入する可能性のある機械の滅菌、殺菌、消毒に使用される洗浄工程。この工程は一般に、食品および飲料業界と医薬品業界で見られます。必ず、食品と接触する材料としての基準を満たしており、高温での化学薬品への曝露に耐えられるプラスチックを使用することが、このような場合は重要です。

潤滑剤:ご使用の用途では潤滑を適切に行う必要がありますか?潤滑剤の中には、長期的にプラスチックの亀裂や膨張を引き起こす可能性のあるものがあります(鉱油ベースや合成油ベースのもの)。エンジニアと設計者は、用途において材料が潤滑剤、油、グリースと接触するかどうかを考慮する必要があります。潤滑剤やグリースへの曝露によって損傷が発生するまでには、長期間かかる場合があります。
 


化学薬品耐性を持つプラスチックを使用する際のその他の考慮事項

用途に適した化学薬品耐性を持つ材料を選定する際には、部品がさらされる物理条件を考慮する必要もあります。

耐火性:
ご使用の用途では、化学薬品耐性に加え、一定の耐火性要件も含める必要がありますか?難燃剤は材料の化学薬品耐性に影響を与える可能性があることに注意してください。

電気的特性:
これは、潤滑油や暖房油、ガソリンなど、引火点が低い液体を保管する際に考慮する必要があります。 

自然曝露:
特定の材料が厳しい気候や紫外線放射に長期間さらされた場合、大気中の酸素によって物理化学的な影響を受ける可能性があります。機械的特性の喪失、変色、脆性が生じる可能性があります。    
 

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